

会長 廣瀬 明夫
2026年の新年を迎えて
2026年の年頭にあたり謹んでご祝詞を申し上げます.
2025年は,中東情勢,ウクライナ情勢,中国経済減速,トランプ関税からなる先行きの不透明感は依然として残った1年でした.日本では初の女性首相が誕生し,連立の枠組みが自公から自民と維新に代わったのに加え,財政出動がコロナ禍以降,最大規模となることから,産業界の活性化が期待されます.一方で,原材料費や人件費の高騰,人材不足など産業界を取り巻く情勢は厳しさを増しており,予断を許さない中で迎える2026年になりました.
当協会ではここ数年,赤字決算を計上しております.コロナ禍以降活発化した各種活動による支出増に加え,原材料費高騰や関連諸経費高騰が収益を悪化させました.昨年から職員のローテーションによる固定費削減と資格認証・認定事業及び指導奨励事業等の値上げに踏み切りましたが,それでも黒字化が望めず,苦渋の決断の末,更に2026年度に約30年ぶりとなる会費値上げの実施を総会承認にて決定致しました.今後も協会活動を維持・発展させるためのやむを得ない施策であり,引き続き自助努力も積み重ねて参りますので,ご理解頂きたく存じます.
当協会活動の柱である資格認証事業について,2024年度は8%程度受験者数が減少しましたが,2025年度では,既に一昨年度を超える受験者数の見込みとなりました.溶接技能者の高齢化は進んでおりますが,雇用延長や技能伝承が少しずつ進んでいることで新規受験者の増加に繋がっているようです.4月検定試験分から,新たに試験結果通知の方法と手続きの変更によって受験担当者の工数削減と不合格者へ不合格理由通知を予定しています.また,実技講習会の受講数や管理技術者の受験数も,わずかながら増加しており,これからの産業,経済の回復も感じております.当協会としても,各県の中立団体又は利用施設と協業するなど,新たな受験者の掘り起こしの施策も講じているところです.年間行事の「全国軽金属溶接技術競技会」は,10月に第51回大会を開催し,全国から54名がエントリーし,日ごろ磨いた技を競う雄姿を見ることができました.6月に開催される表彰式を待遠しく思っています.
2025年度は第三次中期計画最終年度で取りまとめの年になります.活動目標を「軽金属溶接構造市場の拡大」,「技術・技能の高度化」そして「持続可能な協会運営」としております.
「市場の拡大」については,カーボンニュートラル社会に向けた軽金属接合構造ニーズの変化を分析した「アルミニウム接合技術ロードマップ2025」を昨年5月に当協会会誌とホームページにて公開いたしました.また,企業間及び技能者の交流や溶接施工管理技術を指導する人材育成の実施継続によって,軽金属溶接構造技術の鍵となり,市場拡大の道しるべになるものと期待しています.
「技術・技能の高度化」については,まず,3D積層造形技術課題において,産学との勉強会及び見学会を開催して,軽金属に関わる技術課題の情報を発信すると共に,引続き動向予測や技術テーマアップを模索しています.また,日本溶接協会が実施している教育・研究開発事業にも継続して参画し,連携していきます.さらに,2026年度初めにFSW基礎ハンドブックの発刊に向けた活動や各材料のろう材を集約したJIS原案作成,新たなブレージングシートのJIS化の検討,ISO,JIS及び協会規格LWSの改定を行いました.また,軽金属学会春期・秋期大会,溶接学会秋季全国大会ポスター審査及び研究成果発表会において若手技術者への表彰を実施継続し,軽金属溶接の普及・発展に貢献しています. 「持続可能な協会運営」は,将来に向け足元で重要な課題です.協会のコンプライアンス,会員サービス,IT業務維持・向上のため,事務処理業務の投資など「デジタル化」を進めており,今後も継続します.また,2024年度から職員のローテーション,HPなどの利便性向上も継続します.
本年は,我が国の産業や経済が,昨年以上に成長していくことが期待されていますが,当協会におきましても,新たに2026〜2028年第4次中期計画に切り替わる年でもあります.産官学と共に選択と集中により一層の発展を目指し,気持ちを新たにして活動を進める所存です.皆さまには本年も変わらず,当協会へご高配賜りますようお願いいたします.
最後に皆さまのご多幸を祈念し,年頭の挨拶とさせていただきます.